PMOとは何か
PMO(プロジェクト・マネジメント・オフィス)は、組織内のプロジェクト推進を支援する重要な役割を担っています。単なる事務処理担当ではなく、プロジェクトの成功を裏で支える司令塔のような存在です。
PMOに求められる必須スキル
PMOとして成功するためには、以下のようなスキルが不可欠です。
コミュニケーションスキル
- 多様な関係者との密な対話
- 正確な情報伝達と傾聴能力
分析的思考スキル
- 客観的な分析
- リスクと課題の的確な把握
組織管理スキル
- プロジェクト進捗の体系的な管理
- 標準化されたプロセスの構築と運用
問題解決スキル
- 複雑な課題への創造的なアプローチ
- 迅速かつ論理的な意思決定
テクノロジー理解力
- プロジェクト管理ツールの活用
- ITトレンドへの基本的な理解
本記事では、これらのスキルの中で最も重要とされる「コミュニケーションスキル」について詳しく解説します。
コミュニケーションスキルが重視される理由
PMOの仕事は、多様な関係者とのコミュニケーションで成り立っています。
- プロジェクトメンバー間の調整
- 上層部への報告と提案
- 社内外の関係者との連携
- 異なる文化・背景を持つ人々との対話
このような複雑な環境では、単なる事務処理能力では不十分です。真に求められるのは、深い洞察力と高度なコミュニケーション能力なのです。
コミュニケーションスキルの本質
コミュニケーションスキルが高い=「誰とでも話せる明るい人」というステレオタイプは誤りです。
わたしはコミュ力があると周りに評価されていますが、正直根暗の部類に入ります。他人とワイワイやるのは嫌いではないですが、それは関係が構築された心を許せる相手とだけに限定します。不特定多数の方とコミュニケーションだったり、知らない人ばかりの場は苦痛に感じます。大人数の飲み会も苦手です。むだにアレコレ気を遣ってしまい、疲れてしまいます。
そんな内にこもりがちなわたしでもコミュ力があると言われるのは、以下の点を意識しているからです。
- 積極的な傾聴
- 言外の意味の理解
- 非言語コミュニケーションの察知
コミュニケーション能力について、今一度しっかり考えてみませんか?
1. 積極的な傾聴
人間には「自分のことをわかってもらいたい」という根源的な欲求があります。そして、誰かが自分の話に耳を傾けてくれると、「この人は自分のことをわかってくれる」という安心感が生まれます。
カウンセリングでも「傾聴」は最重要スキルとされています。しかし、その重要性を理解していても、わたしたちは無意識のうちに相手の話を遮ってしまいがちです。「なるほど、つまりこういうことですよね」「わかります、わたしも同じ経験があって…」と、いつの間にか自分の話にすり替わってしまう。これは要注意です。
大切なのは、自分の感情や意見を完全に抑え込むことではありません。むしろ、相手の話を聴いている間は自分の感情を意識的にコントロールし、相手の言葉に集中することです。この一見シンプルな姿勢が、「この人はわたしの話をちゃんと聴いてくれる」という信頼関係を築く第一歩となります。
2. 言外の意味の理解
コミュニケーションにおいて、言葉として発せられる内容は、相手が伝えたいことの一部に過ぎません。いわゆる「行間を読む」ことの重要性です。
確かに、意図的に言葉を濁す人もいます。しかし多くの場合、わたしたち誰もが、自分の想いのすべてを言葉で表現することに苦心しています。「そういう意味じゃないのに」と誤解された経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。完璧な言語表現は、プロフェッショナルでさえ難しい課題なのです。
だからこそ、「相手は本当は何を伝えたいのか」を探ろうとする姿勢が重要です。表現された言葉の背後にある真意を理解しようとする人材は、組織にとって非常に貴重な存在となります。
3. 非言語コミュニケーションの察知
「楽しい話をしているのに、目が笑っていない」─そんな違和感を感じた経験はありませんか?言葉と、表情や態度のギャップは、重要なメッセージを含んでいることがあります。
それが意図的に感情を隠しているのか、無意識なものなのかは、必ずしも判断できるものではありません。しかし、そういった細かな違和感に気づき、その意味を理解しようとする姿勢自体が、相手をより深く理解するための重要な第一歩となるのです。
なぜコミュニケーションスキルは難しいのか
人間には無意識の思い込みや先入観、感情のバイアスがあります。例えば、
- 「おそらく~だろう」という早計な解釈
- 自分の経験や価値観による判断
- 相手の感情や背景への不十分な配慮
プロのカウンセラーやコンサルタントでさえ、完璧なコミュニケーションは困難です。高い金額を払ったのに適切なコンサルを受けられなかった、という話はよく聞きます。これは依頼者の本音を無視して進めた結果だと私は考えます。
この難しさゆえに、コミュニケーションスキルは高く評価されます。IT業界に限らず、あらゆる業界で求められるスキルだからこそ、未経験者にもチャレンジのチャンスがあるのです。
実践的なアドバイス
コミュニケーションスキルを磨く方法としてのアドバイスは以下です。
- 積極的に人の話に耳を傾ける(真の意味での傾聴をする)
- 質問力を高める
- 自分の思い込みに気づく訓練をする
- 多様な背景を持つ人々との対話を心がける
一朝一夕で身につくものではありません。相手と対話して、自分を振り返りながら積み重ねていくだけで、他に方法はありません。訓練あるのみです。
傾聴に関するスキルアップ講座もありますので、興味を持った方はそちらにチャレンジしてみるのも良いです。キャリアコンサルタントの学習でも、最初に傾聴からスタートします。コーチングでもそうでした。体系的に学ぶことと、同じ想いを持つ人と一緒に学ぶことは、訓練のスピードアップにつながります。
PMOは単なる事務職ではありません。組織の要として、高度なコミュニケーション能力が求められるプロフェッショナルな職種なのです。
PMOのキャリアには明確なスキルレベルがあります。開発経験を持つ方や高度な技術・知識を持つ人は、当然ながら高く評価されます。しかし、これらのスキルを最初から完璧に習得しようとするのは現実的ではありません。重要なのは、キャリアの基盤を着実に築くことです。
その基盤となるのが「コミュニケーションスキル」、特に「人の話を真摯に聴く」能力です。意外かもしれませんが、このスキルを本当に持っている人は本当に少ないのです。
だからこそ、わたしはこのアプローチを提案します。長期的かつ持続可能なPMOキャリアを築くことができるでしょう。
- まずはコミュニケーション能力で差別化する
- 丁寧な傾聴を自らの強みとする
- 並行して、徐々に技術スキルを育成する
IT業界に関わらず、どこでも必要とされるコミュニケーションスキル。転職に迷っている方も、まずはここから取り組んでみるのがおすすめです。