強みの本質とは?
「あなたの強みを教えてください」
そう言われて出てくる言葉は、誰にでもありそうなありきたりな強み。
・ コミュニケーション能力が高いです
・ これまでの経験で培ったxxスキルを活かせます
・ 目標達成意欲が高く、期日を意識して努力します
これ自体が悪いということではありません。しかし、AIの台頭、リモートワーク、ギグエコノミーの拡大など、わたしたちの働き方が大きく変更する中で、他者との差別化がより大きな意味を持つようになっています。
ありきたりなサービス・企業が生き残れない社会であると同時に、個人もありきたりな強みであれば差別化できず、強みを活かした仕事ができなかったり、転職で希望するところに入れなかったりします。
「強み」とは、あなたが他の人よりも優れている、または自然と取り組める独自の能力や才能のことです。単なるスキルではなく、あなたの本質的な力なのです。
この「強み」を理解し、言語化し、発揮できることが、自分らしい人生を送るうえで重要なポイントになります。
強みを見つけることの意義
変化の時代を生き抜くための羅針盤
キャリア形成の明確化
自分の強みは、キャリアの方向性を見出す重要な指針となります。転職、スキルチェンジ、起業─どの道を選んでも、強みは大きな武器になります。
パフォーマンスの最大化
強みを知ることで、エネルギーを最適に使えます。得意なことに集中すれば、成果は自然と高まります。
「強み」はあなたの本質です。何も努力しなくても、あなたが自然にやっていることです。だから無理なエネルギーは消費されず、むしろ最小限のエネルギーで最大の成果を上げられます。
強みを発見するための実践的な方法
3.1 自己分析アプローチ
「いつ、最高に楽しいと感じるか」を徹底的に追求
以下のような観点を振り返り、ノートに書き出してみます。ぼんやり想像するだけではダメです。意味がありません。しっくりこない表現でも良いので、きちんと言語化することが重要です。また、スマホやPCのメモ帳に書き出すのも良いですが、ノートに手書きするのがベストです。書き出した単語をつなげたり、まとめたり、言い換えたり、内容をアップデートするのが簡単にできます。
- 仕事や趣味で、夢中になる瞬間は?
- どんな時に時間を忘れて没頭する?
- 達成感や充実感を感じた経験を具体的に思い出す
3.2 周囲の声を活用する
幅広いフィードバック
- 信頼できる同僚、上司、友人に「私の良いところは?」と率直に聞いてみる
- 他者から「ありがとう」と言われた経験を具体的に思い出す
3.3 テストとツールの活用
オンラインアセスメント
- StrengthsFinder
- MBTI(性格診断テスト)
- VIA性格strengths調査
これらのテストは、自己理解を深める「きっかけ」として活用できます。ただし、アセスメントの結果で明らかになった特性をそのまま「わたしはこういうタイプ」と決めつけてはいけません。あくまできっかけのひとつです。
たとえば、MBTIの結果が「INFP(仲介者型)」は「共感力が高く、深く良い人間関係を築ける」とされていても、実際のあなたがそうだとは限りません。また、それはそういうコミュニケーションをとれる場もあるでしょうし、そうではないこともあると思います。
つまり、「共感力が高い」というきっかけについて、これまでの自分はどうだったかを振り返って、納得できる具体的なあなたの言葉にすることが最も重要です。
人の感情の揺れ動きに反応してしまうほど共感力が高いです。ただ、それに飲み込まれず適度な距離を保ち、冷静に対応できるため、ネガティブになっている方のカウンセリングが強みです
のように表現できることを目指してください。
3.4 オンラインでの実践的探求
- Udemy:ビジネス、テクノロジー、クリエイティブスキルなど幅広いジャンルの数千もの講座から自分に合うコンテンツを選択可能。様々な分野のコースを通じて、自分の興味と適性を探る
- YouTube:無料の講座や専門家の解説動画から学ぶ
- オンラインコミュニティ:同じ興味を持つ人々との交流から気づきを得る
強みを仕事に活かす具体的戦略
強みを中心に、キャリアパスを組み立てます。強みは誰しももっており、複数見つかることがほとんどです。だから、その強みをかけあわせて、自分にしかできない独自の価値を追求するのが望ましい戦略です。
たとえば、ネガティブになっている方のカウンセリングと、ITへの積極的好奇心が強みであるとわかった場合、
「カウンセリング×IT」
の組み合わせのキャリアを考えていきます。ITが進んでいないカウンセリングを提供する企業で活躍することも考えられますし、カウンセリングをデータ分析して、統計情報として扱ってサービスを提供する企業で活躍することも考えられます。カウンセリングのみでは選択できなかったキャリアを、幅広く考えられることも「強み」発掘の醍醐味です。
強みを見つける上での注意点
- 他人と比較しすぎない
- 一時的な「できること」と本質的な「強み」を混同しない
- 柔軟に、そして楽しみながら探求する姿勢を忘れない
「強み」が見つかると、うれしくてそれに固執してしまうこともありますが、周りの方の影響や置かれた環境の影響を受けて、あなたは変わっていきます。「強み」の度合いも変わっていきます。
だから、「強み」は一度見つかったらそれで終わり、ではありません。転職というターニングポイントだけでなく、悩んだとき、停滞感があるときなど、定期的に自分の棚卸しをしていきましょう。
"以前の自分"と違うことに怖がらないでください。変わることは成長です。変わっている自分に驚き、新しい自分に出会えたことを楽しんでください。こうして自分をアップデートしていくことが、これからの時代を生き抜く最大の武器となります。
あなたの人生、あなたらしく。そのためにも、まずは自分の強みと向き合ってみませんか?
おすすめ参考書
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 最新版 ストレングス・ファインダー2.0
ジム・クリフトン (著), ギャラップ (著), 古屋博子 (翻訳)
実践版GRIT やり抜く力を手に入れる
キャロライン・アダムス・ミラー (著), 藤原 弘美 (翻訳), 宇野 カオリ (読み手)