未経験からIT業界へ転職を考えている20代女性の方へ向けて、効果的な転職戦略をご紹介します。職種選びだけでなく、スキル習得から面接対策まで網羅した、実践的なアドバイスをまとめました。
職種選びのポイント
IT業界には様々な職種がありますが、未経験者でもチャレンジしやすい職種から始めることをおすすめします。
わたしはITサポート職がスタートでした。大学在学中のアルバイトで、デジカメやプリンタを家電量販店で販売したことがあり、知識を習得して誰かに説明するということに抵抗がありませんでした。何より、ビデオデッキの操作やダビングなども感覚的にできており(昭和世代らしい話ですね)、機械に対してネガティブなイメージを持っていませんでした。社内の方やお客様にいろいろ尋ねられても気負わず対応できていたので、今となっては良いスタートだったなと思います。
スキルや興味を活かせる職種
プロジェクトアシスタント
システムエンジニアやプロジェクトマネージャーのサポート役として、プロジェクトの円滑な進行とチームメンバーの業務効率化を担います。具体的には、会議の日程調整や議事録作成、プロジェクトの進捗管理表の更新、チーム内の連絡事項の伝達や調整、各種ドキュメントの作成・管理などを行います。
向いている人:
- 細かい作業を正確にこなせる人
- スケジュール管理が得意な人
- コミュニケーション力のある人
キャリアパス:
- プロジェクトアシスタント → PMO(プロジェクトマネジメントオフィス)担当 → プロジェクトマネージャー
マーケティングアシスタント
Webサービスや製品の利用者・潜在顧客に向けて、商品・サービスの認知度向上と売上アップを目指す仕事です。主な業務として、SNSアカウントの運用や投稿作成、メールマガジンの配信、アクセス解析データの収集・レポート作成、キャンペーンページの更新などを担当します。Webマーケティングを入口として、デザイン領域やSEOなど分析領域、Webアプリの開発領域など、Web系領域に参画して専門家に分岐しやすい職種です。
向いている人:
- SNSの活用に詳しい人
- データや数字を見るのが好きな人
- トレンドに敏感な人
キャリアパス:
- マーケティングアシスタント → デジタルマーケター → マーケティングマネージャー
ITサポート職
社内の従業員やサービスを利用するお客様のIT関連の問題解決とスムーズな業務遂行をサポートする役割です。パソコンやソフトウェアの使い方説明、システムトラブル時の一次対応、マニュアルやFAQの作成、社内システムの利用サポートなどを行います。
わたしが最初に行ったのがこの職種でしたが、最初からなんでもわかっていたわけでは「当然」ありません。先輩に聞いたり、本や資格取得で勉強したり、お客様に怒られながら学んでいきました。怒られることで心が折れることもありましたが、「この人は困っていてどうしようもないんだ。どうしたらそれが解消できるだろう?自分に何ができるだろう?」と冷静に受け止めていくと、感情的に対応することがなくなって楽に対応できるようになりました。
年齢が若かったことで声も若かったため、「あなたみたいな若い人に言っても難しいとは思うんだけどさ…」と、気にしてくれるおじさまもいましたので(そのときは、ついそれに甘えてしまい、先輩に代わってもらいました…)、若いときほど楽にチャレンジしやすい職種かなと思います。経験を積めば、それだけで解決策が思いついたりしますし、キャリアを重ねるとパターン化されてより働きやすくなります。
向いている人:
- 人に教えることが好きな人
- 相手の話をじっくり聞ける人
- 基本的なPCスキルがある人
キャリアパス:
- ITサポート職 → テクニカルサポートリーダー → システム運用管理者
データ入力職
社内の各部門やプロジェクトチームに対して、正確なデータ管理と業務効率化を支援する職種です。ExcelやGoogleスプレッドシートでのデータ入力、データの分類・整理・チェック、簡単なデータ集計に加え、最近ではAIツールを使用したデータ処理の効率化にも携わります。
今後、単純なデータ入力は稼げない(需要がない)職種になりますので、ここを入口として、AI活用にどう結び付けるかがポイントです。データは物事の起点となる重要な要素ですので、それをどう迅速・正確・有効に調理できるかが差別化につながります。ぜひYouTube等で紹介されているAI活用の動画を見てみてください。それに興味を持てない方は向いていないかもしれません。
向いている人:
- 正確な作業が得意な人
- 集中力がある人
- 新しいツールの習得に興味がある人
キャリアパス:
- データ入力職 → データアナリスト → ビジネスアナリスト
キャリアサポート体制の構築
キャリア相談の活用
先輩とエージェント、それぞれの特徴を活かした相談を行うことで、より効果的な転職準備と活動が可能です。情報収集の段階では先輩に、実際の転職活動段階ではエージェントに、といったように状況に応じて使い分けることをおすすめします。
IT業界の先輩に相談する
業界の実態や現場の生の声を知るために、実際にIT企業で働く先輩社会人への相談が効果的です。友達のお姉さんや昔のアルバイト先の先輩など、身近なところに該当の方がいなければ、インターネットを通じて相談するのがおすすめです。オンラインコミュニティやセミナーで出会った先輩に相談することで、教科書やWebでは得られない実践的なアドバイスを得ることができます。
わたしもあなたにとっては先輩になれると思いますので、相談したいことがありましたら「お問い合わせ」からお願いします。
相談すると良い内容:
- 日々の業務の具体的な内容や必要なスキル
- 実際の職場の雰囲気や文化
- キャリアアップに向けた具体的な道筋
- 未経験から入社後、どのように成長したか
- 仕事と学習の両立方法
- 失敗や苦労した経験談
- (転職経験がある方には)転職活動時の準備で役立ったこと
転職エージェントに相談する
転職市場の専門家として、求人情報や採用動向について詳しい転職エージェントへの相談は、実際の転職活動を進める上で重要です。定期的なコミュニケーションを通じて、着実なキャリアチェンジを実現できます。少なくとも月に1回は面談を設定し、状況の報告と次のステップに関するアドバイスをもらいましょう。複数のエージェントを並行して活用するのもおすすめです。
相談すると良い内容:
- 現在の市場動向や求人状況
- 未経験でも応募可能な求人情報
- 給与相場や待遇の一般的な条件
- 企業が求める人材要件
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 面接対策のアドバイス
- 企業との条件交渉の進め方
業界イベントへの参加
セミナーや勉強会
- 最新のIT業界トレンドを学べます
- 実務経験者との交流で、実践的なアドバイスを得られます
- 同じように転職を目指す仲間との情報交換ができます
現職では出会えない価値観の方や同じ方向を向いている方との出会いは、とても刺激をもらえます。新鮮な環境を楽しんでやりましょう!
オンラインコミュニティ
LinkedInやFacebookのグループなどを活用することで、新しい情報をキャッチアップできます。
スキル習得の方法
オンラインコースの活用
IT基礎
- IT関連のブログやYouTubeの無料教材でIT用語や基礎知識を学習
- UdemyやSchooでオンライン学習
- 職業訓練(求職者支援訓練)の受講(上記で挙げた職種と異なり、プログラミングなどより専門的な訓練が多いです)
IT関連資格取得
- ITパスポート:IT関連の基礎知識を証明できる入門的な資格
- 基本情報技術者試験:IT業界で広く認知されている基本的な資格
実践的な経験を積む
インターンシップ
短期間でも実務経験を積むことで、実際の職場の雰囲気や必要なスキルを体感できます。
ボランティア
非営利団体でのITサポート活動を通じて、実践的なスキルを磨くことができます。
効果的な履歴書作成
スキルを強調する
募集要項の理解
応募先企業が求めるスキルと自身の経験を照らし合わせ、マッチする部分を強調します。
関連する経験を記載
- スキル習得で身につけたスキル
- インターンシップでの実績
- 個人プロジェクトでの成果
未経験の方においては、熱意とポテンシャルが重視されます。転職に向けてどのような理由でどのような学習を行ったのか、それによりどのようなスキルを身に着けたのかという根拠を添えることで、経歴書の内容に納得感を持たせることができます。
「~という勉強をしています」という人と、「~という背景から、~という勉強をしました。そして~という資格を取得しました。これにより~だった~が~なりました」という人の2人がいた場合、あなたはどちらを採用したいですか?
プロフィールの充実
自己PRの作成
- IT業界への熱意や学習意欲を具体的に記載
- 未経験でもアピールできる転用可能なスキルを強調
- 将来のキャリアビジョンを示す
具体的な成果を示す
- 取得した資格
- 参加したセミナーや勉強会の回数
- 作成したポートフォリオやプロジェクト
定量的な情報(回数や時間など数字で表現できる情報)と定性的な情報(数字で表現できない情報)を含むことで、より具体的にイメージしてもらいやすくなります。
面接対策
事前準備の徹底
企業研究
- 企業の事業内容やサービスについて詳しく調べる
- 企業の価値観や文化について理解する
- 最新のニュースやプレスリリースをチェック
よくある質問の練習
- IT業界を選んだ理由
- 志望動機
- キャリアプランについて
- 技術的な基礎知識
自信を持って臨む
ボディランゲージに注意
- 背筋を伸ばした姿勢を保つ
- 適度なアイコンタクト
- 明るく前向きな表情
質問を用意する
- 具体的な業務内容について
- 研修制度について
- キャリアアップの機会について
未経験からのIT業界転職は簡単ではありません。今やっている仕事の合間に時間を作るのも大変ですし、そのうえ勉強の時間を確保するのはさらに難しいです。でも、不可能ではありません。計画的に準備をして進めていけば必ず成功します。この記事で紹介した戦略を参考に、あなたも転職への道筋を組み立ててください。