元飲食店店長を務めていた26歳女性が、IT企業に転職した事例をご紹介します。彼女は、大手居酒屋チェーン店の店長でしたが、今では大手SIer企業でPMO職として活躍しています。この記事では、彼女が未経験からIT業界への転職を決意した経緯と、具体的な準備内容、年収の変化まで、包括的にお伝えします。彼女のリアルな声をお聞きください。
今はPMOとして活躍されていますが、未経験からの転職は簡単ではなかったと思います。どのように転職されたのか詳しく教えていただけますか?
そうですね。簡単ではありませんでしたが、そもそもPMOという職種を知る機会があったのがラッキーだったなと思います。経緯からお話しますね。
転職を決意するまで
転職を考え始めたきっかけ
転職を考え始めたきっかけは主に以下の3点でした。コロナ禍を経て飲食店も落ち着いてきた2023年4月頃のことです。
- 深夜勤務や不規則な勤務時間による身体的な限界
- コロナ禍での飲食業界の先行き懸念
- 将来のキャリアに対する漠然とした不安
当時、店長として3年の経験を積み、30名以上のスタッフマネジメントや月間売上1,000万円規模の店舗運営には自信がありました。しかし、「このまま飲食業界で働き続けていいのだろうか」という思いが日に日に強くなっていきました。
決断のタイミング
転職が頭に浮かんでからは、ほぼ毎日のように転職のことを考えていました。そのとき、友人が転職したという話を聞いて、自分も28歳までに新しいキャリアを確立したいと強く思い、転職を決意しました。
転職先を飲食業界ではなくIT業界にしようと思ったのは、前年にIT関連の仕事を行った経験があったからです。
PMOという職種との出会い
運命的な出会い
転職先としてIT業界を選んだきっかけは、店舗のPOSシステムに絡む経験でした。店長時代、本部主導の新POSシステム導入プロジェクトで店舗側の窓口担当を任されました。このプロジェクトで、本部のPMOチームと協働する機会があり、「組織的なプロジェクト管理」を知りました。PMOチームでは、具体的には以下のような業務をしていました。
- 進捗状況の確認と報告
- 課題の洗い出しと解決策の提案
- 様々な関係者との調整業務
これらの業務は店舗運営にも通じるものがあり、イメージを持てたことでITに対するハードルが少し下がったように思いました。
店長経験とPMOのスキルマッチング
転職を決断して転職サイトに登録したところ、転職エージェントと面談がありました。IT業界についてあまり知らなかったため、エージェントの方にたくさんの職種やそこからのキャリアパスを教えてもらいました。その中でPMOに向いているという話もしていただきました。以下のようなスキルは店舗運営とITで似ており、転用可能性が高いと具体的に示してもらいました。言われてみれば納得ですが、ITについて知らなかったため、親和性があることに驚きました。
1. スケジュール管理能力
- 店舗:30名以上のシフト管理
- PMO:プロジェクトスケジュール管理
2. 予算管理能力
- 店舗:月間売上・経費の管理
- PMO:プロジェクトコスト管理
3. リスク管理能力
- 店舗:食品衛生・クレーム対応
- PMO:プロジェクトリスク管理
転職活動
具体的な準備内容
転職エージェントの方とのやりとりで、PMO職への転職を目指すことにしました。店舗運営のスキルで転用可能性が高いと言ってもらいましたが、ITの知識がなかったため、転職活動と並行して基礎知識の習得と資格取得に取り組みました。ITについて聞ける友人もおらず、集中してスキルを習得したかったため、講座も受講することにしました。
第1段階:基礎知識の習得、資格取得
- IT業界研究
- ITパスポート取得
- Excel エキスパート取得(MOS)
- 基本情報技術者試験受験(面接日までに合格できませんでした)
第2段階:実践的スキル習得
- プロジェクトマネジメント基礎講座受講
具体的な活動内容
- 転職エージェント面談:6社(いろいろなエージェントの方と話して情報収集していました)
- 書類選考:応募10社
- 一次面接:6社
- 二次面接:4社
- 最終面接:3社
- 内定獲得:3社
最終的には3社から選べるという嬉しい状況になりました。仕事内容や勤務地や年収について比較して選ぶことができ、非常にありがたかったです。転職するまでに半年かかりましたが、半年前の自分では想像もつかないところにやってきたと感じています。
転職後の変化
飲食業界からIT業界に転職して、以下のような変化がありました。
働き方の改善
- 勤務時間:シフト制→平日9-18時の固定勤務
- 休日:月8日程度→土日祝日休み
- 残業:月平均45時間→月平均20時間程度
収入面での変化
■前職(飲食店店長)
・基本給:28万円
・諸手当:5-7万円(深夜・休日手当含む)
・年収:約420万円
■現職(PMO職)
・基本給:32万円
・諸手当:3-5万円(残業手当含む)
・賞与:年2回(計3ヶ月分)
・年収:約500万円
年収は約80万円もアップしました!転職活動中に受けた講座は有料でしたが、これが内定を得られたポイントだと思いますし、簡単に元が取れた感じです。何より深夜勤務がなくなり、心身ともにゆとりができたことに感謝しています。
今後のキャリアパスとしては、上司と以下の話をしており、年収も上がる見込みがありますので、まだまだしっかり頑張ろうと思っています。
・2年後:上級PMO(想定年収550-600万円)
・4-5年後:プロジェクトマネージャー(想定年収650-700万円)
未経験から転職成功したポイントと反省点
成功のポイント
- 前職のマネジメント経験を活かせる職種を選択したこと
- 計画的に準備したこと
- 基本的な資格を取得してから臨んだこと
- 複数の転職エージェントを効果的に活用したこと
反省点
- PMO職に強い転職エージェントに出会うのに時間がかかったこと(エンジニア前提で話を進める転職エージェントに気づくのが遅れた)
- 知識や資格を取得してから職務経歴書の見直しや面接練習をしようと考えていたため、直前に慌てることになった
転職に思い至った経緯から、実際の転職活動まで詳しくお話いただきありがとうございました!PMOという仕事に前職で出会われていたのですね!
前職のときには「PMO?なんだそりゃ?」とあまり気にしていなかったのですが、転職エージェントの方とお話するうちに「私にぴったりじゃないか!」とわくわくしました。転職した現在、やっぱりそのときの感覚は間違っていなかったなと思います。
最後に、未経験からの転職に迷っているみなさんへアドバイスをいただけますか?
これから転職を考える方へ
未経験からの転職は不安も多いと思います。知らないことが不安の元になるので、ぜひITのことを色々調べて、まずは知ることから始めてみてください。そして私の経験から、以下の流れをお勧めします。自分ひとりで考えていると視野が狭くなるので、早めに色々な方を頼るのがいいと思います!転職エージェントはほとんどが無料なので、使わない手はありません!
- 現在の経験・スキルの棚卸し
- 適切な転職エージェントの活用
- 転職後のキャリアビジョンの明確化
- 十分な準備期間の確保
私は自分の経験を活かせる職種を選ぶことで、未経験でもアピールポイントを作ることができました。転職して半年が経ちましたが、規則正しい生活の中で新しい知識を吸収できる今の環境に非常に満足しています。将来的にはプロジェクトマネージャーを目指して、さらなるスキルアップに取り組んでいきたいと思います。
この記事のとおり、ITは技術者やエンジニアだけで成り立つものではありません。簡単とは言えませんが、挑戦する気持ちがあればわたしもサポートします。具体的な質問やご相談があれば、「お問い合わせ」からお待ちしています。
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