転職

客先常駐(SES)の参画から終了までの流れ

客先常駐(SES)をより具体的にイメージしてもらうために、常駐先が決まるところから終わるまでの一連の流れを紹介します。転職したらどんな流れで進むのか、想像しながらお読みください。

参画するまでの流れ

1. あなた自身でスキルシート(≒職務経歴書)を作成する

転職時に作成した職務経歴書をベースに、スキルシートを作成します。

職務経歴書は長期雇用を見据えた総合的な判断材料として使用されますが、スキルシートは常駐先プロジェクトとのマッチングの判断材料として使用されます。そのため、どのようなプロジェクトを経験してきたのか、どのようなスキルを持っているのか、どのようなツールを使えるかなど、スキルを中心に記載します。また、抵抗なく通える距離なのか判断するため、居住地の最寄り駅を記載する欄があります。

SES(System Engineering Service)は、顧客企業に常駐して技術サポートを行う契約形態であるため、スキルと経験がどうなのかが、ひと目でわかるようにしたものがスキルシートです。

- 技術スキル:言語、フレームワーク、ツールなどの経験年数と習熟度を記載
- 業務経験:具体的なプロジェクト内容、担当フェーズ、チーム規模を明記
- 保有資格:有効な資格証明書の情報を記載

ポイント

IT未経験でも問題ありません。未経験には未経験なりの書き方があります。会社によっては、数ヶ月の研修を実施し、その研修内容を記載することもあります。

2. 営業担当があなたに合う案件情報を収集する

社内で常駐先が見つからない場合、所属会社の営業担当が「常駐する人を探している案件担当者」にアポをとって、案件マッチングを行います。あなたのことを知っている営業担当と、常駐先を知っている営業担当が「このプロジェクトはどうかな?」とやりとりして案件を絞り込みます。

3. 案件情報をあなたに展開して、意思確認のうえ応募する

マッチングした案件情報があなたに展開されます。勤務時間や残業の有無、必要なスキルの大きな乖離がないか確認し、特に問題なければ、営業担当が案件担当者に応募の旨を伝えます。入れ違いで締め切りとなることもありますが、この場合はまた別の案件を探します。

ポイント

プロジェクト単位での募集となり、長期的に常駐することが確約されているわけではないので、取捨選択にこだわりすぎないのがポイントです。特に未経験の場合は、「これは絶対ダメ!」という条件をクリアしていれば応募するようにしましょう。人気のプロジェクトは応募も多いため、高スキル・経験者の方がマッチングしやすいです。未経験では、5件応募して1件も面談に進めない、なんてこともよくある話です。

4. あなた・案件担当者・現場担当者らの面談

先方の指定日時で面談が設定されます。応募者が複数の場合、集団面談になる場合もあります。転職時の面接と同様に、経歴の説明と質疑応答が主になります。商流によっては、面談が複数回実施されることがあります。

- 服装:基本的にスーツ(営業担当に確認)
- 持ち物:スキルシート、筆記用具、面談時のメモ
- よくある質問:
     ・これまでの経験について
     ・技術的な得意分野
     ・提示の業務内容で問題ないか

5. 参画決定と参画準備

面談でOKが出れば、参画決定です。営業担当が契約ごとを対応して、常駐先に関する詳細があなたに展開されます。キリよく月初から参画することもあれば、早ければ契約後の翌営業日から参画することもあります。

- 参画初日の集合時間・場所
- 必要な準備物(身分証明書、印鑑など)
- 服装(ビジネスカジュアルが多いが現場次第)

参画中の流れ

基本的な業務管理

  • 基本的に常駐先に直行・直帰
  • 勤務時間管理(タイムカードまたは勤怠システムでの打刻)
  • 残業が発生する場合は社内のルールに沿って対応
  • 月次の勤務表提出(所属会社の指定フォーマット)

ポイント

契約に関する支払い条件が「勤務表」であるため、勤務表の提出は迅速かつ正確に求められます。

日常業務の進め方

  • 現場担当者や所属会社の指示に従って業務を遂行
  • 業務進捗状況や発生した課題とその対応について報連相しながら実施
  • 次月の予定を確認

各種申請・連絡方法

  • 休暇申請:所属会社と常駐先の両方に申請
  • 緊急連絡:体調不良時は所属会社の担当者と現場責任者両方に連絡。システムトラブル時は現場の指示系統に従う

トラブル対応

  • 技術的な問題:まず現場のリーダーに相談し、解決できない場合は所属会社の技術担当に相談
  • 人間関係の問題:所属会社の営業担当に相談

情報セキュリティ

  • 常駐先の情報セキュリティポリシーの遵守
  • 守秘義務の徹底
  • 私物デバイスの持ち込みルール確認

終了の流れ

1. 契約期間の30日前の確認

  • 所属会社の営業担当が現場担当者に延長有無を確認
  • この時期に次の案件も並行して探し始める

2. 契約終了が決定した場合

  • 引き継ぎ資料の作成
  • アクセス権限の解除申請や貸与物(PCやカードなど)の返却準備
  • 私物整理

3. スキルシートの更新

  • 今回の常駐で得た経験・スキルを反映
  • 具体的な担当業務、プロジェクト規模を記載

4. 次の案件探し

  • 更新したスキルシートを使用
  • 「参画するまでの流れ」の手順を再度実施

5. 契約期間満了後

  • 最終日に必要な手続きを完了
  • 次の案件が決まっていない場合、所属会社で待機
    - 待機中の給与保証の有無は所属会社による
    - 待機中はスキルアップに取り組む

常駐先の決め方は会社によっても異なりますが、今回は未経験者によくみられる「商流が深い」・「単独参画」を想定した流れにしています。元請け会社に所属する場合は、固定の常駐先に同じ所属会社の人が複数参画していて、増員という形で入ることがあります。その場合、あなたの意思確認なく決められて参画することになります。

転職サイトの募集要項に「常駐先はあなたの希望をふまえて決定します」のように記載されているものは、上段のような流れで決まります。つまり「商流が深い」・「単独参画」の可能性が高いです。

どのような商流にもメリット・デメリットがあるため、どこが良いとは決められませんが、「商流が深い」・「単独参画」を扱う会社は転職障壁が低いため、そこを利用するのもひとつの戦略です。

参考【IT業界への第一歩】客先常駐(SES)の商流(取引の流れ)を賢く活用する

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